webサービスと依存について

一般的なwebサービスと依存

webサービスというのは、基本的には依存をさせればさせるほど儲かる仕組みになっています。占いにしてもゲームにしても、依存してリピーターになるほど良い顧客になる。だから多くの事業者が「いかに依存させるか」を競っています。

依存させるためには「できるだけ使いやすくする」「サービス利用への障壁を下げる」「また使いたくなる仕掛けをつくる」「心理的報酬を与える」などのように利用者が葛藤することなくサービスを利用するための仕組みづくりを目指すことになります。

会員登録しやすいフローをつくったり、1日1回ログインするとごほうびをあげたり、不安をあおったり、期待させたり、安直な答えのようなものを提供したり。

そういうものが、必要になることもあります。

カウンセリングと依存

一方で、依存的な仕組みづくりは、その人自身の「判断する」「耐える」「乗り越える」力を奪ってしまうことにもなり得ます。これはカウンセリングにおいて価値が置かれる「葛藤耐性を高める」「内省する」「不確実性に耐える」「自立的な人間を目指す」ということは大いに矛盾します。

安易に喜ばせようとすると力を奪ってしまいかねない。喜んでもらわないと使ってもらえない。カウンセリングのwebサービス運営者としての最大の葛藤の抱えどころです。

そんな中、とても勇気付けられたのが本日利用者さんから頂いたこんな声です。

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1年間、寄り添い親身になって見守っていただきました。実親との経験で成長できなかった部分を、疑似親として依存し反発し受け入れていただくことで、自分でもわからない内に大きく成長できていた気がします。本当に1年間ありがとうございました。実家に帰るような気分でまた活用させていただく日まで、独り立ちした学生のようにがんばって乗り越えていこうと思います

山﨑 文野(臨床心理士)に相談する - cotree(コトリー)

依存しながら、受け入れてもらうことで成長し、独り立ちしていく。

甘えて、弱さを受け入れてもらうことで勇気付けられて、成長への自信を得る。

最初は依存に見えるものも、そこに溺れさせるのではなく変化のきっかけに変えていく。

こんな価値が、私たちが本当に提供したい価値なんだと、あらためて感じました。より正確には、私たちが「cotreeを通じて」本当に提供したい価値です。

この声の宛先はカウンセラーさんであって、cotreeではありません。でも、cotreeという「場」を通じてこのような価値が生まれていくと良いと思うのです。

webサービスを運営している以上、それをたくさんの人に届けるためにやるべきことはやっていく必要があります。たくさんの人に届けるためには犠牲になるものも出てくるかもしれない。その矛盾の中で、葛藤に耐えながら、本当に大切なものを大切にしていく勇気を持ち続けるのは、けっこう大変なことだなぁと痛感する日々です。

でもいつも原点に立ち戻らせてくれて励ましてくれるのは、サービスを利用してくださった方からの、こうした声であるように感じます。

新生cotree、がんばろう。

 

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